「ごめんな」

「謝らないでよ。みじめになる」

ぬぐってもぬぐっても涙は止まらなかった。

「お前のこと好きじゃないなんて一言も言ってないだろ」

「じゃあなんで…全然…そういうことしてくれないじゃん…好きな人とならしたくなるんじゃないの?」

「したくないなんて言ってねえだろ」

「でもしない」

「だから…」

部屋に沈黙が流れた。


「大切にしたいからだよ」


藍は決まりが悪そうな顔をして横を向いた。


「お前のこと」


未来の目から、止まりかけていた涙がまた流れた。