「このあと、どうする?」

車の扉を閉めると純はスマートフォンをカーステレオに接続して音楽を流す。

「あ…そろそろ…ご飯作らないとだから」

「まだ14時だよ?さすがに早すぎるでしょ」

「今日はママ仕事休みだから」

「じゃあご飯はママに作ってもらいなよ」

本当は、最近母である有里華は家を空けていることが増えた。

以前は深夜には帰宅していたが、最近家に帰らずそのまま出勤していることもある。

『仕事で泊まりになりそうだからご飯はばーちゃんとこで食べてきて』

というLINEが深夜に届いている。
朝起きても有里華は帰ってきていなくて、未来が学校から帰っても有里華はいない。

「うちくる?カルボナーラ作ってあげるよ」

純は車を発進させると窓を開けた。

「あ、でもそうすると俺連続でカルボナーラだ」

ジャケットを脱いでグレーのシャツ一枚になった純は、「暑いね」といって笑った。

「ミクちゃんにチャーシューの作り方教えてもらおうかな。肉と長ネギ買えばいいんだった?」

赤信号で車が停まると純は助手席の未来を見た。

「男の部屋って初めて?」