未来は藍の身体が一年前よりも背中が広くなって、筋肉がついたように思った。



「藍とこうするの久しぶり」


「おまえ、なんかあったの?」


藍の体温が未来の身体に伝わる。


「べつに」


「お茶冷めるぞ」


「うん」


「未来」


「うん」


「俺男だよ」


「知ってる」


「悩みがあるなら言えよ。聞いてやるから」


そう言って藍は未来の頭をポンポンと叩いた。


「うん」


藍から身体を離すと、未来はベッドから立ち上がる。


「また来ていい?」


「おまえが来ると親父が喜ぶぞ。今すげーテンション高いから、行ってみ」


そう言って藍は笑った。


「ミクー!サッカー始まるぞー!」


階段の下から再び和夫の声が聞こえて、未来も笑った。


その瞬間、未来は少しだけ純のことを忘れていた。