三週間ぶりに藍の部屋に向かう階段を上がる。

扉を叩くと、「おう」と返事が返ってきた。

「暇そーじゃん」

藍は机に向かって参考書を広げていた。

「暇そうに見える?」

未来の方を見ずに藍が答える。

「私立の進学校は大変だね」

「お前とは違うんだよ」

「部活は?」

「サッカー部」

「それは知ってる」

未来はベッドに勢いよく寝転んだ。

「何してんだよ人の部屋で」

「いいじゃん」

「出てけ」

「冷たくない?」

「邪魔」

未来はため息をついて、寝転んだままスウェットのポケットからスマホを取り出した。

純からLINEがきている。

『さっきはごめんね。日曜日空いてる?』
『オススメのカフェ紹介するよ。もちろん昼間だから安心してw』

メッセージを閉じて藍を見る。

相変わらず机に向かったままの後ろ姿だった。

「藍」

「なに」

「デートしたことある?」

「なんの話だよ」

未来はそのままだまって天井を見つめていた