コンビニを出ると、純は「こっち」と言って未来を路地に誘う。

「私、家帰らないと…」

「もうちょっとならいいでしょ?」

そう言って純は未来の肩を抱くと、自分の方に引き寄せた。

純の薄いブルーのシャツからは香水と、タバコと、アルコールが混ざった匂いがする。

「俺、ミクちゃんのこと本気で好きになっちゃうかも」

耳元で純の声が聞こえる。

「ごめん。ばーちゃんが…待ってるから…」

思わず未来は純の身体を引き離した。

「ああ、ごめん」

「ごめんなさい」

「謝らないでいいよ」

「また連絡します!」

急いで頭を下げると、未来は走り出した。

息を切らせてスマホを開く。
相変わらず藍から返信はきていなかった。