「ミク、美味しいご飯食べにいこ」


未来が母の有里華に誘われたのは、梅雨も間近の5月半ばのことだった。


その頃の未来は、退院したばーちゃんの家に手伝いに行ったり、バイトや学校のことで忙しくて、

冷蔵庫の有里華のお酒が減っていないことに気がついていなかった。


「今週の土曜日。ミク、バイト休みだったよね？」


バイトがない日はばーちゃんの手伝いに藍の家に行きたかったけど、久しぶりの有里華との夕食に未来は喜んでOKをした。


「この前お客さんから買ってもらった花柄のワンピースあったでしょ？あれ着てきな」


有里華が食事の時に服を指定するなんて珍しいけど、有里華と久しぶりの外食をできることが嬉しくて、未来は気にも留めなかった。