「ねえ藍、うちら新婚みたいだね」


「そうだな」


藍のその返事は未来にとって予想外だった。


きっといつもみたいに、「なにいってんだよ」とあしらわれると思ったから。


「藍と結婚したら私この家に住もうかな」


「有里華さんは?」


「ママも皆んなで住もうよ」


「狭すぎるだろ」


藍は立ち上がると空になったカレー皿に一杯目と同じ量のご飯を入れて、2杯目のカレーをよそっておかわりをする。


「藍、身長また伸びた?」


「おまえまたチビになった?」


テレビから流れるいつものバラエティー番組の音。


藍と食べるご飯。


0時前に仕事を終えて帰宅したかずオッちゃんは、未来の作ったご飯にきっとまた懲りずに嬉し泣きをする。


ずーっとこの時間が続いてほしい。


テレビを見ながら2杯目のカレーを頬張る藍を見て、未来はそう願っていた。