「あたしの青山君になにか?」

「いつからお前のものになったんだよ」

「照れるな照れるな」

会話をじっと聞いていたユーリンが、優を無視して急に藍の前に立ちはだかった。

「昨日友達になったよ。ミクちゃんと」

優の眉がピクリと動く。

「で、こちらの彼女は青山の?」

「ふーん」

優はピンクのグロスの唇をニッコリ引き上げてユーリンを見た。

「ユーリンちゃん?
未来ちゃんのお友達なら、あたしともお友達になってもらおうかなぁ」

「ぜひよろしく。じゃーお友達としてちょっと青山貸してくださーい」

そう言うとユーリンは藍に「ちょっときて」といって校舎に向かっていった。

優は何も言わずに口だけ笑ったままユーリンを見た。



「デートの邪魔した?」

藍と並んでる廊下を歩きながらユーリンが嫌味っぽく質問した。

「未来の友達?」

未来がN高に友達がいるという話は、藍は聞いていない。

「否定しないの?」

「なにが」

「先輩とのデート」

「なんでそうなるんだよ」

「噂になってるよ。2年の先輩と付き合ってるって」

「ああそう」

藍にとってはあまり興味のないことだった。