初めて、一晩経っても未来からLINEの返事が返ってこなかった。

そこまで気にすることではないか…

藍はスマートフォンをカバンに投げ込むと電車を降りる。

N高の校門をくぐると優が藍の前に立ちはだかった。

「おはよ」

今日も巻き髪をゆるく三つ編みにして、厚い唇にはピンクのグロスが光っている。

「待ち伏せ?」

「待ち伏せ♪」

優がすかさず腕を組もうとすると、藍は腕を上げてそれを避けた。

「うわっ!冷たくなーい!?」

「彼女いるっていいましたよね?」

「この前の、考えてくれた?」

「だから…」

藍が言いかけたところで、玄関の前に背の高いショートカットの女子と目が合った。

「青山」

「同じクラスの…」

誰だったかなと藍は記憶を辿る。

「ユーリンでーす」

「なにかご用ですか?」

優がニッコリ笑って優に顔を近づけた。

「用があるのはそっち」

ユーリンが青山を指差す。

「青山君になんのご用?」

優がむっとしてユーリンをにらんだ。