「ごめん、俺の話つまんないよね?」


「ううん。聴きたい」


「ミクちゃんは年齢の割に大人だな。
ちょっと待っててね」


カルボナーラのお皿を空にすると、純はドリンクバーから自分のホットコーヒーと、未来に温かい紅茶を取ってきた。

そして話を続ける。


「んで、あいつ短大のサークル入ってね。
ツイッターとかによくそのサークル仲間の写真がアップされるようになったんだよね。
男も女も合わせて10人ちょっとのサークル?」


純はいつのまにか元カノのことを「あいつ」と呼んでいた。


「最初はサークルのメンバーと食事行ったみたいな投稿だったんだけど、段々旅行とか行くようになってたんだよな」


ようやくハンバーグを食べ終わった未来は純が取ってきた紅茶のカップを両手で包む。温かさが掌から伝わってきた。


「一年目のクリスマスはあいつバイト休んでこっち来てくれたんだけどな。あー、もちろん交通費とか全部俺が出したよ?


2年目も当然来ると思うじゃん?だって同棲までもうちょっとだし」


その時の純の顔は、今まで未来が見たことのない顔をしていた。

表情は笑顔だけど、瞳は悲しそうだった。