焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新


「いらっしゃいませー。ご注文は?」

「桜餡ひとつと、蜂蜜ひとつください」

「かしこまりました~少々お待ちくださいね」

「え、成宮さん」

注文してくれたそれは、両方私が食べたい味だ。

しかもお金を払おうと財布を持ったら、成宮さんに手でやんわり制される。

お店の店員さんからお団子を受け取って列から外れる。

「和花菜、どっちの味先に食べる?」

「どっちっていうか、両方私が食べたい味ですよ?ごめんなさい今お代払いま……なふひやはん?」

お財布を出そうとしたら、むにっと頬をつままれた。

「今日、和花菜は楽しむことが仕事。そういうの気にすんな。分かりましたか」

小さな子供に言い聞かせるみたいな言い方。

分かった、分かりましたから離れてください近いです。

必死でこくこくと頷けば、やっと手を離してくれる。