「いないってか、作らない」

彼女を作る気はない、と。

ただ彼女がいないのとそういう存在をつくる気はない、って似てるけど本質は別だと思う。

胸の奥底がツキンと小さく痛む。

「寝るまででいいから」

ああ、もう。キャパオーバーだ。

大人なんだから、こういう場面になったとしても余裕をみせたいのに。

成宮さんの前だと全然うまくいかない。

「わ、かりました。寝るまで、ですからね」

「ん。ありがと」

そう答えれば、更に抱きしめる腕に力が入り距離を縮められた。