「びっくりした、私帰るので早く寝てくださいよ」
「和花菜」
なんて甘い響き。
寝ぼけてるのか。ていうか、その、距離感が。
「……部屋、隣なんだろ」
掠れた声が鼓膜を揺らす。
熱っぽい瞳に、熱い身体。私までどうにかなってしまいそうだ。
「じゃあ、もう少し」
一瞬、戸惑うような、切なげな色を瞳に滲ませる。
もう少し。そのあとに続く言葉は、なんとなく想像できた。
「こんなことして、彼女さんに怒られますよ」
「いないし」
「いないんですか。……へー、そっか。いるんだと思ってました」
「何でちょっと嬉しそうなんだよ」
「う、嬉しかったわけじゃ」
頬をぷにっと引きのばされる。今の私絶対間抜け顔だ。


