「成宮さんはずるいですよ。ああいうこと言われたら、お世辞だって分かってても勘違いしそうになる」
「なら良かった」
ニヒルに笑ってみせる。
そうだ。成宮さんからすれば相手が騙されてくれた方が上手なおもてなしが出来たということになる。
「意地悪だなぁ……はい、お水と冷えピタ。これ持ってちゃんとベッドに移動して寝てくださいね」
ローテーブルにまとめて置いておく。
「私はもう帰るので」
成宮さんがベッドに行ったら食器を全部片づけて帰ろう。
そう思って立ち上がった、ら。
「うわっ?!」
ボスッ。
腕を引っ張られてそのままソファへダイブ。同時に熱い体温が直に伝わってきた。
「ちょ、成宮さん?どうしました?!」
成宮さんのほのかに甘い香りと汗が混ざった匂いが鼻腔を掠める。
顔を動かすと、至近距離に端正な顔が。


