でも、今私は成宮さんのプライベートに踏み込んでる。

「あのさ」

「はい」

「・・・まじめにお前隣の部屋?」

「信じられない気持ちは分かりますけどマジです悩むと熱上がっちゃいますよ」

こんな風に、自分が彼の部屋に来てゆったりとした時間を過ごすことになるとは私も思いもしなかった。

頭の中を整理するともしや自分とんでもないことをしているのでは?っていう疑問が出てくるけど、心配だったから。

それに、例え成り行きでこうなったとしても『その他大勢の客』から踏み出せた気がして。

「和花菜、ごちそうさま。予想以上にうまかった」

社会人になったっていうのに、こんな些細なことで舞い上がる私は単純すぎるかもしれない。

「お褒めの言葉、光栄です。あ、薬は一応総合風邪薬とタイプ別の物を用意しましたけど、どれにします?」