焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新


「ご飯できましたよ。これ食べて薬飲んでからちゃんと寝ましょう?」

床に膝をつき、トンと肩に手を置いて成宮さんの耳元で声をかけた。

手の甲で首筋を触って体温を確かめると、やっぱり熱い。

「成宮さん」

初期段階でちゃんと薬飲んでいればもうちょっと楽だったんじゃないかなって思うけど。

成宮さんはんん、と小さく唸って眉根を寄せた。

「今日殆ど何も食べてないんでしょ?なら少しくらいお腹に入れないと」

頭に響かないように極力ボリュームを抑えて話しかける。

「……なんか、良い匂いする」

そう言って、ゆっくり瞼を開けていつもより時間をかけて焦点を合わせる。

バーカウンターで一切の隙を見せず完璧に振る舞う成宮さんはここにはいない。

時間をかけて上半身を起こしたところで冷えピタを取り換えてあげた。

通常モードなら『自分でやるわ』って素気なくされていただろう。