焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新


「帰国したばっかでバタついてたんだよ。最低限の物さえあれば仕事はできる」

「あー、じゃあやっぱり今回の風邪って移されたっていうより、身体が環境の変化についていけなかったからですね」

「んー……そんな感じ」

成宮さんは曖昧な返事にとどまる。

気を張ってる時って、自分でも不調に気づかないものなんだろう。

帰国して日本で生活する準備をするだけでも疲れるのに。

すぐ仕事を始めた分余計体に負担がかかったのかも。

数日前、私が雨に濡れた時風邪を引くと心配してくれたけど、もしかしたらあの時から体調を隠していたのかな?

ストイックさは諸刃の剣だ。

「大変でしたね、お疲れ様です」

そう声をかけた時には返事はなく、もう眠りに落ちていた。

今のうちにご飯作っちゃわないと。

豆腐、人参をサクサク包丁で切って炒める。

その間にお粥も作って、炒めたところにコンソメを入れ溶き卵をかければおかずも完成。

うん。我ながらいい出来だ。

食べきれるくらいの量をお皿に盛りつけて、ローテーブルに並べる。