焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新


成宮さんはそれを一瞥してからはぁ、と熱っぽい溜め息を吐く。

「カーディガンだけあればいいから。帰り……っ、ケホ」

口もとに手をあて、私から顔を逸らし乾いた咳をする。

「ちゃんと病院行きました?行ってなくても薬は?ゼリーくらい食べてますか?」

「……別に、寝てれば治るし」

「あなた本当に年上ですか。寝てれば治るってそれは風邪のひき始めまでですよ」

寝てれば治るって、いやいやいや。

マスターが心配していた理由が今すっごく理解できた。

「いつまでもここにいると移る。帰りな」

「成宮さんの接客やカクテルを楽しみしてるお客さんはたくさんいらっしゃいます。その人たちのためにも、私頑張りますので」

「は、頑張る?」

「部屋にお邪魔しますね!成宮さんは寝ててください」