焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新


閑静な住宅街の中にこのデザイナーズマンションはいい意味で目立っている。

「部屋番号も、ここで合ってるけど」

信じられない。半信半疑ながらも間違えないよう確認してからインターホンを押す。

けど、反応なし。

可能性としては、出かけているか爆睡してるか……悪化して倒れているか。

待ってそれは困る!困るけどあり得なくはない。

大人になってからの方が風邪をひくと重くなる人もいるらしいし。

「成宮さんいらっしゃいますか?!」

マスターに一応と教えてもらった電話番号でかけてみるも、出てもらえない。

まあ、知らない番号からいきなりかかってきたら出ないよなぁ。

でも今回ばかりは疑わずに出てほしかったです。

「成宮さん!お願いします、清水です。開けてもらえませんか」

これでダメだったら考え直そう、最後の望みをかけて呼びかけたら。

―――ガチャ。

ゆっくりと、扉が開いた。