隣に座り、頬杖をつきながら微笑む。

その表情を見ると、同時にあの無表情が脳裏を過ぎる。

スーパーでの出来事はますます勘違いか夢だったんじゃないかと思えてきた。

「あの、成宮さんってお兄さんか弟さんはいらっしゃいますか?」

「いないけど、どうして?」

「深い意味はなくて、前に成宮さんに似た人を見たような気がしたので」

「へぇー」

「すみません変なこと聞いて。私の勘違いだったみたいです、コーヒーごちそう様でした」

そろそろお店を出よう。席を立ちパパッと身支度を整える。

「カーディガン、完全に乾かしきれなかったな……」

洗濯機から乾燥させていたカーディガンを取り出して、成宮さんが眉根を寄せた。

「帰ってまた乾かすので大丈夫ですよ」

「んー。待って」