「あー、和花菜戻ってきた!瀬戸さんも」

「ごめんね琴美。亜里沙さんに忘れ物届けてて」

亜里沙さんと同じ会社の人たちにも、理由をごまかして帰った旨を伝えておく。

「和花菜はいいけど、瀬戸さんは締めの挨拶があるんですから抜けないでください」

琴美が頬を膨らませながら言うと、ごめんごめんと謝って皆の前に立った。

そのまますらすらと挨拶を済ませ、これから二次会に行く人と帰る人に分かれる。

「和花菜は行くよね?二次会も」

二次会は参加自由だから、正直今は遠慮したい。

けどここで二次会を琴美だけに任せるのも気が引ける。

成宮さんと話をしなきゃいけないのに、どうすると悩んだ結果。

「うん、行くよ」

「だよね。よかった」

瀬戸さんは皆に背中を押されながらも締めの挨拶をして、もちろん二次会強制参加で色んな人に囲まれながら外に出ていく。

成宮さんは、と周りを見回すと手際よく片づけをしていて。

一瞬視線が絡み合って、けれど離れてしまった。

私も琴美に連れられて、結局話をすることが出来ないままバーをあとにしたのだった。