瀬戸さんもこの場面で敢えて注文したってことは、確信犯だろう。

私の視線に気づいたのか、瀬戸さんは分かってると言わんばかりに笑顔で頷く。

これも、後輩に対する気遣いなのかな。

成宮さんはというと、全てを理解してるはずなのに取り乱すことなく淡々とカクテルを作っていて。

まるで反応なしって、妬けるというか。

自分には亜里沙さんがいるから、私が口説かれていようと気にする必要はないと示されてるみたいで。

「……カシスソーダ。ありがとうございます」

「本当に思ってることだからな」

何に対してのありがとうなのか。瀬戸さんは勿論分かってるはずだ。

「２人とも、素敵ね。打ち合わせ中も息ぴったりだし」

亜里沙さんが全てを分かっていると言わんばかりの表情を私たちに向ける。

「はは、ありがとうございます」