「俺は優しくしたいよ。和花菜は大切なお客さんでもあるから」

ひどいなぁ。

「もうさすがに遅い時間だし。寝るか」

「また、このスープ食べに来てもいいですか。自分じゃこの味、作れません」

分かりやすい建前だ。

成宮さんにもお前なぁ、とクシャクシャ髪をかき混ぜられた。

逢瀬の理由作りすらうまくできなくて、不器用を発揮してしまう。

「分かったから。今日はお休み」

「お休みなさい」

しっかり玄関まで見送ってくれる彼を、また好きになってしまった。