「ほんと、人の性格をピンポイントで言い当ててきますよね」
「踏み込んでみなよ」
心臓がはねた。
「和花菜、聞きたいことがあるんだったら直球で聞くのもありだと思うけど？」
図星だった。
昔からそうだ、越えていいか曖昧なラインは超えないようにして。
恋愛に関しても気の遣いすぎでダメになってしまったこともあった。その癖を見抜かれるなんて。
「……じゃあ。亜里沙さんは、彼女じゃないんですか？」
「違う」
「だったら、どうして彼女をつくらないんですか？」
きっと私は成宮さんのことを知っているようで知らない。
「相手に悲しい思いをさせるから」
「それは、どういう」
成宮さんは伏し目がちに、少し憂いを帯びた表情をする。
この類の顔は、確か一度見たことがあったような。
「バーテンダーとして、誰に対しても平等に接するようにしてる。でも彼女っていう立場からすれば嫌だろ」
自分にも思い当たる節があった。
