「あー、じゃあお礼になるか分かんないけど。飯食う?夜食作ろうと思ってたんだよ」
成宮さんは持ってた紙袋をカサッと揺らしてみせた。
「つってもこんな時間だし、今からは無理か」
「いえ!全然お腹空いてます今すっごい空きました」
前のめりで答えると、成宮さんが若干後ずさる。
亜里沙さんは私以上に部屋に出入りしてることを考えたら、競争心がわいてしまった。
「そこまでかよ。用意するからあがりな」
「ありがとうございます、お邪魔します」
私も、成宮さんに部屋に入れてもらえるんだ。
なんて、意味のない優越感。
でもここで遠慮したらもっと亜里沙さんと差がつくような気がして。
「何かお手伝いします?」
「これはお礼なんだから座ってろ」
成宮さんはメモスタンドをシックな棚の上に置く。


