「ああ、彼女?もとは営業だったんだけど、マーケティング部に移って今後はプロモーション担当になるから、勉強のためらしい」
最初はタイミングが合わなくていなかったけど、これからは参加すると。
もう正直現実を受け止めるのに必死すぎて、打ち合わせでヘマしないようにありったけの体力を使った。
なんとか円滑に打ち合わせを終わらせ、片づけながらばれない程度にため息を吐いていたら。
「こんにちは。和花菜さん」
「……こんにちは。櫻井さん」
「ふふ、まさかうちの広告を担当してくださるチームに和花菜さんがいるなんて」
「清水、櫻井さんと知り合いだったのか?」
瀬戸さんが大きく目を三開いて、私たちを見つめる。
「えーっと」
「ええ、実は。私がよく行くバーで和花菜さんと出会って。ね?」
「はい」
私もよくいくバーといえばあのお店しかない。
瀬戸さんもすぐに理解したのだろう。


