焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新


「さっき俺の話を聞いてもらったから、次は和花菜の話を聞くよ」

もしかして、自分の弱い部分を見せたのは、私に愚痴や悩みを言いやすくさせるため?

「なんでそこまで……瀬戸さん優しすぎますよ」

「俺が和花菜に優しくしたいから。誰にでもこんなことするわけない」

ぽんぽんと左手で背中を撫でながらも、右手で頬を包まれる。

「大事な後輩だからっていうのは勿論だけど。そういうの関係なく、和花菜のことは気にかけてたから」

真綿のようなふんわりとした優しさの中に、時折甘ったるい空気が顔をのぞかせる。

「聞かせてほしい、和花菜のこと」

「……仕事で悩んでるわけじゃないんです。ただ、こう……気になる相手に魅力がありすぎて、自分じゃ相応しくないんだろうなっていうか」

「それって俺のこと?」

茶目っ気のある笑顔でサラリと言ってのける。

「ち、違いま……いや違うというか」

「はははっ、ごめんごめん。分かってる」

「もう、瀬戸さんってば」

「和花菜にそれだけ想われてる人に、少し嫉妬してさ」

嫉妬?瀬戸さんが?

予想外の言葉に顔だけじゃなくて身体中が熱くなる。