浅くテーブルに腰かけ、ジャケットを脱ぐ瀬戸さん。
「清水。まず持ってるPCと資料は置いて」
「はい。こう、ですか」
「そのまま真っすぐ」
まっすぐって、瀬戸さんの正面に立つことになるけど。
何だろうと思いつつも素直に従う。
「……っせ、とさん」
逞しい腕がやんわり背中に回され、私の肩口に顔をうめた。
あたたかい体温がじんわりブラウズ越しに伝わってくる。今、抱きしめられてる……んだよね?
ほのかに爽やかな香りが鼻腔を掠めた。
「どうしました?もしかして具合悪いとか?なら私ができる範囲で代わりにやりますよ?」
「はー……落ち着く」
熱い吐息にくすぐったくなる。瀬戸さんがこういうことするなんて、本当に仕事のしすぎなのでは?
「あああの、瀬戸さん」
「今回の案件、覚悟してたけど。結構重いなぁ」
この人の弱音を吐く姿、初めてみた。


