焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

この件が動き出してから毎日があっという間に過ぎていく。

そういえば最近は全然あのバーに行ってないな。

成宮さんの声を聞いたのも、電話をしてくれた時が最後。

「……っ今はやめよう」

「何を?」

「わっ、瀬戸さん!?」

いつの間にそこにいたんですか。全然分からなかった。

「いや、そのー今この瞬間は精一杯複合機と向き合わなきゃいけないなって」

成宮さんのことを考えるのはやめようって自分に言い聞かせてました、なんて言えるわけがない。

「……清水、ちょっと休憩付き合って」

「瀬戸さんは絶対休憩なさった方がいいですけど、私は平気です。コーヒーでも淹れてきますよ?」

もうとっくに定時は過ぎているけど、いよいよ広告の作成に入る前段階まできた。

だからこの山場を乗り越えるために会社に残って仕上げをしなければならない。

「いいから、来て」

瀬戸さんは電話で会議室Bを使う旨を伝え、そのまま複数の会議室が壁で仕切られているスペースへ。

「あの、瀬戸さん?」