「雰囲気っていうか、波長が合いそうな感じ。付き合うんだったら落ち着いてて堅実な和花菜にはいいんじゃない?」

「あはは、仮にそうだとしても。瀬戸さん側が私に興味ないんだから無理だよ」

「私には瀬戸さん、和花菜に興味あるようにみえるけど?」

「それは同じ担当の後輩だからでしょ」

瀬戸さんはどの部署だろうと関係なく後輩を気にかけているし。

あの人にとっては普通のことなんだろう。

成宮さんも職業柄相手の心情を読んで接し方を変えるのは普通で、特別なことじゃない。

だから私だけが浮かれすぎてたんだ……。

「はぁ……」

「ひとり脳内で話展開させるのやめてくれる?そんなんで大丈夫なの?新規案件」

「それなんだよね」

今週から、今までで一番といっていいほどうちにとっては大きな新規案件が動き出すことになった。

クライアントは有名な総合商社。

対企業の広告に一層力を入れていくんだとかで依頼を受けた。