バイト先を変えても刺激なんて何一つなくて。
店長、みんなが使えないとうわさしている社員とあまり好きにはなれなそうな社員。ただ運んで、たまに部屋を片付けて、終電に乗るため駅まで走っての繰り返し。
何一つ魅力なんて感じないし、2ヶ月経ってサボり始めた頃、最後に夜勤を1ヶ月だけ入ってやめようと決意した。
夜勤初日、殆ど話したことのない人たちと働くことに少しだけ緊張しながらバイト先へと向かった。出勤10分前くらいにぞろぞろと夜勤の人たちがなにやら楽しそうに話しながら更衣室へと入ってくる。
「はじめまして、高宮です。よろしくお願いします。」
挨拶をすると、びっくりしたような顔でこちらを見ている。
何かやらかしたかな。少しだけどきどきしていた。
「女の子だ~」
黒い、THE 体育会系。って感じの人が柔らかい口調で言った。
「遅番女の子少ないから、びっくりした。俺は古坂恭助。みんなからは恭助さんって呼ばれてるよ。よろしくね♪」
少し怖そうな見た目とは違い、すごく優しそうな人。
この人が夜勤のリーダーだということはすぐにわかった。