『拝啓、君へ。
さて、残念なお知らせがあります。ある程度世界も観て廻ったので、そろそろ愛しい君の元へ帰ろうかと思ったのですが、ミケルがそうさせてくれそうにありません。なんということか、ミケルの恋のキューピッドがイギリスで覚醒し、迅速な仕事をこなしたのです。今彼の心はグラマラスなイギリス女性に釘付けです。ミケルの顔は彫刻の如く美しいですが、心は君が好む木綿豆腐のように脆いのです。足元にしがみついて離れない彼を、殴り倒して帰ることも出来たのですが、ここまでの困難を乗り越えられたのはひとえに、彼の母国語があったからです。ここはひとつ、重い腰をどっこいしょとおこして、優しく彼に手を差し伸べてやろうと思います。記念日までには帰れるようにするので、許してね。』