ぷすっ!!

『ぎぎぎぎぎぎ!!!!』


とある1匹の魔物が
何かを探して、さ迷いながら
空を飛んでいると…

急に、なにかが
尻に刺さり
一気に全身が燃え上がる。

途端に力を奪われ
魔物は空から落ち…

"もぅ…飛ぶ力は残っていない…"と悟った。


薄れ行く意識の中…

「あわわわわ
なんかゴメンよーー!」

かけよって来る、人の声が聞こる。

人は、その両手のひらに乗るほどの
小さな魔物を
そっと、すくい上げ
優しく…いとおしいそうに、さすった。


『ですから、
手を放さないでと言ったではありま…

……おや?』

後を追うように
ふわりと飛んで来た、
6枚の翼を持つ天使が
魔物を不思議そうに、じーっと見ている。

『私の羽で燃え尽きぬモノなど
初めて見ます…


悪しき者では有りますが…
とても純粋で清い思い……の塊?』

「なんですかソレ?」

人は半泣きで、
瀕死の魔物をなでながら
天使に聞いた。

『………妖精?
の、ようなモノでしょうか…

魂の欠片……
あるいは誰かの強い思い…』

「よ、妖精?!
ごめんよ毛玉ーー!大丈夫かーー?!」

人はわしゃわしゃと魔物をさする。
どうやら……

その魔物の
もっふもふの
子犬のような毛並みが
彼をそうさせているようであった。

魔物は正直、
うっとうしくさえあったが
なでられていると…
不思議と力が戻ってきた。

『……ほぅ……なるほど。

あなたは、
そういう力を持っていましたか。

もっと強く、
この者を癒す願いを込めて
やってみて下さい。』

「もっと……強く…?」

人はギュッと
魔物を腕に抱いて、祈るようにしてみた。

すると、無数の光の粒が
手から沸き立ち……

突然にして
(誰かの不注意で)
業火に焼かれ、黒くコゲた
魔物の傷を癒していった…

そして…自分が
何を探してさ迷っていたのか…

……思い出したのであった。