◇◇◇



乾杯をし、一段落付いた頃。

先生達の座る上座で世間話をしていた私、

とは反対側が、やけに騒がしくなった。


「あ!壱斗(イチト)!壱斗来た!」

「遅れたー!!セーフ?セーフ?」


みんなの視線が、一気にソコへ集中する。


「遅刻してる時点でアウトだろー!!」

「ごめんごめん」

「真山(マヤマ)くん!こっちの席空いてるよーっ!」


遅れて来たそいつは、多くの人に一瞬で囲まれてしまった。

仕事帰りだと言うが、ワイシャツにジャージを羽織った、なんと~もラフな格好。

少し伸びた髪は、暗めの茶色に染められていた。



あ。



こっちに、来る。



「なー、もしかして沢白?久しぶりだなー!」

「あー、うん」

「老けた?」

「それ女子に言うことじゃなくない?」

「女子っていう年でもねえだろー」

「おいこら」