ふと周りを見渡すと、もう夕暮れ。

オレンジの光が、窓からこぼれている。


「「…………」」


……気まずい。

何か、話さないと………。


「あの………、ひとまず、さあ!先週のアレは無かったことにしない!?私も真山も夜飲みすぎたんだよ~!私は別に相手いないけどさぁ~~?むしろ真山に彼女さんとかいたらこっちも気まずいしね!!」

「……あん?」


────こ、

こええぇ!!


眉間にシワを寄せ、首を傾げる真山。

なんで!?なんで怒ってんの!!?

何も無かった、これからも元同級生って関係でよろしく!!って感じでしめて、サヨナラしようよ!!


真山は頬杖をつきながら、口を尖らせる。


「………俺は、無かったことにするつもりはねぇ、から……」

「……え?」

「~~だから!!!」


俯き、頭をがしがしとかいてから、真山は顔を上げた。




「お前とキスしたこと、忘れる気ねぇから。お前も覚えとけよ!!」




そう言うと、真山は席を立ち、店を出ていった。