ぜえ、ぜえ…………。
勢いよくテーブルを叩いた手の平が、じんじんと痛む。
くそぅ。
人は、本当のことを言われると涙が出るのだろうか。
ふふふ、なんだか視界が霞むなぁ。
「ちょっとー、いきなり立ち上がらないでくださいよ。僕のカフェオレがこぼれちゃうでしょー?」
もー、ぶつぶつぶつぶつ。
ぼそぼそと文句をいう目の前の男は、数十枚ある用紙の端を丁寧にそろえた。
「先生ー?今度の読み切りでラブコメ描いてほしいっていったのは確かに僕ですけど、これじゃあただのコメディですよ?もっとラブ!とエロ!も盛り込まないとー」
「あのですね………」
「先生が描きたいのはアクションとか冒険ものって言いたいんでしょう?わかりますけど、たまには違うジャンルに手を出してみて、気分転換を図るのもいいと思いますよ」
「堀(ホリ)さん…………」
「だから、ヒロインを巨乳に」
「それは無理」
それなりに、もっともなことをいうこのロリ……じゃなかった。堀さんは、
「シロ先生、たまには担当の僕のいうこともその薄い胸に手を当てて聞いてください!」
私の、漫画編集担当。