「あ。もう、お昼になるね」
「………」
「私も午後から用事あるし、行くね」
「おう……」
ササッと髪を直し、立ち上がる。
「………さわしろぉ」
「はい?」
真山はゴロゴロもぞもぞ。饅頭状態のまま落ち着きがない。
「なに?」
「連絡先、教えて欲しいんだけど……」
…………?
「いいよ」
「マジで!?」
「う、うん……」
そういえば、大学に入ると同時にスマホに変えたとき、連絡先が全部消えちゃって。
そのとき真山の連絡先も消えて。
それからは家族と茂木ちゃんとモッチーと、仕事相手や大学の友人の連絡先しか知らないんだよなぁ。
「茂木ちゃんかモッチーから聞いてもよかったのに」
「こういうのは本人に許可とって聞いたほうがいいだろ」
「へぇ~」
しっかりしてますねぇ、と呟きつつカバンを探す。
あった、あった。
えーと、スマホは~。
「…っとと。」
「何してんだよ」
