のぞき込んだ途端、思いきり顔を鷲掴まれた。

いたいな、このやろう。


「あ、わり…」

「私も頭突きしたし、お互いさまってことで。で!?私、なんかへんなことやらかしてない!?」

「…………お前は、何もしてないし何も言ってない、と思う。俺の記憶の中では」

「ほんと?なら、よかったー」

一安心一安心。

もしやさむーいギャグでも言ったり、キス魔にでもなってしまったかと焦っちゃったよ。

そう私がヘラヘラと話すと、真山は顔を真っ赤に染めた。


「どうした?」

「なんでもねえ!!」

「はあ~?」


変なやつだなぁ。


「そういえば、今日は学校行かなくていいの?真山先生」

「日曜日!」


そう言うと、バホッ、と掛け布団を被って饅頭のようになり


「………担当の委員会も部活も午後からだから昼過ぎに顔を出すつもり……」


こそっと目と鼻だけをだす真山。


「…ふーん」


ちょっと、可愛いかも、なんて。

25歳にして、久しぶりにちょっとだけ、ときめいてしまったじゃないか。



ちょっとだけ、ね。