ずびびっ、と鼻をすする。


「きたねぇな」

「うるさい!」


────あれ?

でも待って、何もないというなら。


「なんで私抱きしめられた状態だったのかな」

「え」


目覚めたそのとき、私は真山に全身を羽交い締めにされていた。

そのせいで金縛りかと勘違いをし、

顔を上げた反動で真山の顎に頭突き。



「泊めてくれてありがとう。けど、果たして一緒に寝る必要はあったのだろうか……一体全体どういった経緯で………」

「………あーあーあー!沢白!」

「はい?」

「念のため聞いとくけど、お前、どこまで記憶ある?」

「へ?えっと、とりあえずー」


一次会終わって…、次行くぞー!って茂木ちゃんとモッチーに抱えられながら歩い………いや、


「雑に引きずられてたな……ひどい扱いだ…」

「そこはいいから、そのあと!!」

「ええ~?二次会の席ついてからは覚えてないよ~」

「…あ、そう。」


なんだかホッとしたように、真山は安堵の表情を浮かべた。

もしや、私は何かあらぬ失態をおかしていたのでは……?


「あの~……わ、私、なにか変なことしたり喋ったり……して、た?」


おずおずと、真山の顔をのぞき込む。


「おわっ!?」

「ぶっ」