そして、わたしが聞いたことに対する答えは返ってこなくて。
「……ねー、帆乃」
「な、なに…?」
「こんな遅い時間まで、僕が誰と一緒だったか聞かないの?」
話の展開は思わぬほうへ向いた。
気になってはいたけど、聞くのには勇気がいったから。
だって、もし女の子と一緒だったなんて言われてしまったら……。
その可能性は限りなくゼロに近いはずなのに。
「誰と一緒だったか……聞いたら答えてくれる…の?」
ぎこちない聞き方。
すると、依生くんは表情を全く崩さずに。
「答えてあげるよ。
女の子と一緒にいた。それだけ」
抑揚もないトーンで吐き捨てられた言葉。
頭にドンっと衝撃を受けて、
心臓が一度強く音を立てたかと思えば、一瞬にして周りの音が聞こえなくなった。

