可愛がりたい、溺愛したい。




ふと、嫌な予感が胸の中を支配した。


……もしかして、女の子と一緒…とか。


まさか……そんなことあるわけない。


そう思いたいのに、なぜか不安は煽られる一方で。



依生くんは女の子にだらしない性格じゃない。


かっこいいからって、いろんな女の子に手を出しているわけでもない。



ただ……依生くんみたいな男の子が甘いひと言をささやけば、確実に女の子は落ちる。


今まで感じたことがない不安に襲われていると。



シーンと静まり返る中、リビングの扉が開いた音がして、驚いてビクッとした。



そのまま身体をソファから起こし、視線を扉のほうに向けてみれば。



「あ……、おかえり」



「……ただいま」


そこにいたのは、もちろん依生くんで。


チラッと見えた表情はいつもより険しくて、声のトーンも少しだけ無愛想に感じた。