可愛がりたい、溺愛したい。




***



「……遅い」



時刻は夜の9時を回っていた。


あれから家に帰ってきたわたしは、ずっと依生くんの帰りを待った。



だけど帰ってくる気配はなく。


何度も何度もスマホの画面を明るくして、連絡の通知を確認するけどいっさいなし。


こちらから連絡するのは気が引けて。


今はリビングのソファにグダッと寝転んだまま、電気の明かりをボヤッと眺める。


今朝、葉月くんと一緒にいた時、依生くんの様子は明らかにおかしかった。


もしかしたら、それが依生くんの機嫌を損ねている原因なのかもしれない。


花野井くんの言う通りかもしれない。



「はぁ……」


依生くんがそばにいなくて、連絡が取れないだけでわたしの気分はここまで落ち込む。


こんな時間までどこに行っているんだろう、誰といるんだろう……?