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「……遅い」
時刻は夜の9時を回っていた。
あれから家に帰ってきたわたしは、ずっと依生くんの帰りを待った。
だけど帰ってくる気配はなく。
何度も何度もスマホの画面を明るくして、連絡の通知を確認するけどいっさいなし。
こちらから連絡するのは気が引けて。
今はリビングのソファにグダッと寝転んだまま、電気の明かりをボヤッと眺める。
今朝、葉月くんと一緒にいた時、依生くんの様子は明らかにおかしかった。
もしかしたら、それが依生くんの機嫌を損ねている原因なのかもしれない。
花野井くんの言う通りかもしれない。
「はぁ……」
依生くんがそばにいなくて、連絡が取れないだけでわたしの気分はここまで落ち込む。
こんな時間までどこに行っているんだろう、誰といるんだろう……?

