可愛がりたい、溺愛したい。




「あー、そうだったね。
というわけで、いまキミと話してる時間はもうないから」


葉月くんから引き離すようにわたしの手を引く。


残された葉月くんが「嫉妬丸出しで余裕ないんだなあ。ますます奪ってやりたくなる」


こんなことをつぶやいていたことも知らずに。



***



そして迎えた放課後。


いつも通り依生くんと一緒に帰ろうかと思ったんだけど、お昼休みからずっと姿が見当たらなくて授業をサボっているっぽい。


たまにサボったりするから、あまり珍しいことではないけど、いつも放課後には戻ってくるのになぁ。


スマホを確認しても連絡は来ていないし。


どこにいるかもわからないので、とりあえず教室を出て帰ろうとした時。



「あれ、今日1人?
依生のやつどうしたの?」


花野井くんに声をかけられて、足を止めて振り返る。