可愛がりたい、溺愛したい。




「や、だからわたし可愛くないし……!
それよりメガネ!!返して!」


わたしは結構目が悪くて、メガネがないと日常生活に支障が出るくらい。


近くのものは近づけば見えるけど、遠くのものはさっぱり見えない。



「へー、自覚してないの?
だとしたら、俺だけ?帆乃先輩がこんなに可愛いの知ってるの」


「自覚もなにも……」


「だってわざと地味な格好してるんでしょ?
他にいるの?帆乃先輩の姿知ってる人」


「い、いる……よ」


「へー、いるんだ?友だちとか?」


「友だちも知ってるけど……。
幼なじみがいちばんよく知ってる、かな」


たぶんわたしのことをいちばん知っているのは依生くんだから。



「幼なじみいるの?それって男?」


「うん、そうだよ」


すると桜庭くんの顔が歪んだのがよく見えた。