「い、言いたくないから離して……っ」
「やだよ、言うまで離さない」
「依生くんの頑固……」
「帆乃のほうこそ」
昔から2人とも頑固な性格を持ち合わせているから、こうやって意地の張り合いをすると負けるのはいつもわたし。
けど、今回はぜったいに負けないんだって顔で依生くんを見てみれば。
「ふーん、じゃあ言いたくなるよーに
身体にイジワルしよーか」
危険、ぜったい危険。
笑った顔がぜったい言わせてやるって。
「僕は帆乃のことなんでも知ってるから。
きっと帆乃以上にね」
「っ、」
わざと、耳元でささやくように言われたせいで身体がピクッと反応する。
「……くすぐったい?」
「……ないっ」
「へー、まだ強がる余裕あるんだ?」
耳にかかる依生くんの息がくすぐったくて仕方ない。

