可愛がりたい、溺愛したい。




「依生くんの……せいだよ」


「へー、ドキドキするのも顔真っ赤になっちゃうのもぜんぶ僕のせい?」



そうだよって言わせたい顔してる。

だから、そのとおり首を縦に振る。


すると満足そうに笑いながら。



「それでいーよ。
そんな可愛い顔も僕だけに見せてくれればいいから」


「い、依生くんこそ……」



途中まで言ったけど、その先は言わないほうがいいと思ってとっさに口を紡ぐ。


さっきまで真っ赤だった顔は、いつのまにか不安な気持ちが強くなったせいで崩れてしまい、唇をキュッと噛みしめる。



「僕のほうこそ何?」


「な、なんでも、ない……。
聞かなかったことにして」



「それは無理。
泣きそうな顔してるじゃん」


パッと顔を横にそらそうとしたけど、わたしの行動を先に読んだ依生くんの手が両頬を挟んで阻止してくる。