「……苦しくても離してあげないよ」


「……んんっ」


「たまんないね、その甘い声」


苦しくなって、息をするために開いた口からスッと舌が入ってきて

どんどん力が抜けていく。


息苦しいのに、もっとしてほしい……、この苦しさがなぜか心地よくて離してほしくない……なんて。



「……キス、うまくなったね」


離れてしまった唇が恋しく感じるのは相当重症かもしれない……


なんて思いつつも……。



「……っと」

「ん?」


「……もっと、してほしい……っ」


欲張りな自分を止められなくて、

自ら唇を重ねた。


「っ、……何それ、ずるすぎ」


あからさまに戸惑っているのがよくわかる。


薄暗い部屋の中だけど、至近距離で見つめ合っていれば表情はよく見える。


いつもより余裕さが欠けているように見える依生くんの顔。