「あぁ、あの例の彼氏くんか。
ケンカでもしたの?」
「いえ、べつにケンカはしてないんですけど。
なんか機嫌が悪いっていうか……うーん……」
あからさまにシュンッと落ち込むわたしを見て、浅川さんは
「いやー、若いっていいねぇ」
「だから、浅川さんも若いじゃないですか」
わたしとそんなに歳変わらないのに。
でも、落ち着いてるよなぁ…と。
ほんの少し年齢が上なだけで、そんなに落ち着くものなんだろうか。
「浅川さんは彼女さんとケンカしないんですか?」
「んー、あんまりしないね。
彼女が言いたいこと我慢せずにぜんぶ俺に言ってきてくれるから」
「でも言いたいことぜんぶ言ったら面倒とか思わないんですか?」
「思わないかなぁ。まあ、それは彼女だからだけど。むしろ言ってもらえるほうがいーんじゃない?」
「は、はぁ…そうなんですね」

