「わたしのこと好きじゃないくせに……なんで触れてこようとするの…?

今だって、こうして抱きしめられてるだけで、わたしがどれだけドキドキしてるかわかってないくせに……っ」


悔しいくらい、好きで好きで。

他の男の子なんか目に入らないくらい。



「どんどん欲張りになっていく自分が嫌なの……っ。依生くんがわたしだけのものになってくれたらって思うばかりで。

でも、依生くんはわたしのことなんてこれっぽちも好きじゃなくて……っ」


こんなに感情的になることなんて滅多にないから。


今までずっと言わなかったことが、一度外れるとポロポロと出てくる。



すると、肩に手が軽く触れて、そのまま身体ごと回されて正面に向き合って小さな声で



「……いっこだけ教えて」


顔を隠すように、わたしの肩に頭をコツンと乗せて。



「帆乃は……誰が好きなの……」