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「へー、結構高くまで上がるんだね」
「…………」
「帆乃先輩?」
「あっ、そ、そうみたいだね」
結局拒否することができずに、観覧車に乗ってしまった。
ふつうは観覧車に乗ったら正面同士で座るかと思っていたのに、いま隣同士で座っている。
肩が触れるか、触れないかくらいの微妙な距離。
「……いま、2人っきりだね」
さっきまで外の景色を見ていた横顔が、急にこちらを向いて、しっかり目が合った。
いつになく真剣な顔をしているから、思わずそらしたくなってしまう。
だけど、そらす前に……
「……先輩が俺のこと好きだって言ってくれたらいいのに」
小さくて弱い声なのに、なんて言ったか、はっきり聞こえてきて。
……甘い香りに包み込まれた。

